「スラント&スロープの魔術師!THE仮枠職人!!」
・土木系の型枠大工とは?
大地を職場とする土木工事の小型擁壁や、重力式擁壁、L型擁壁、橋台に橋脚と、砂防ダムなど、ありとあらゆる重要コンクリート構造物の「型枠加工・組立」をメインに仕事をする職人のこと。
建築系の「直線・直角流」の型枠技とは違い、土木系は「曲線・鋭角鈍角流」の型枠の技が、主流となる。
ゆえに、
正直者や、曲がったことが大嫌いな人には、向いていない職業と思える。
- 1.職業(土木系の型枠大工の仕事)
- 2.能力(土木系の型枠大工の強さ)
- 3.装備(土木系の型枠大工の装飾品)
- 4.特技(土木系の型枠大工の得意技)
- 5.特長(土木系の型枠大工の性格)
- 6.転職(土木系の型枠大工の将来)
- 7.総括(土木系の型枠大工のまとめ)
1.職業(土木系の型枠大工の仕事)
土木型枠の「普通職人」の基本的な内容の解説。
基本のステータス
名前:土木系の型わく大工
LEVEL:5(経験年数5年以上)
HP:30(肉体のつよさ)
MP:10(頭脳のつよさ)
経験値:1825(次のレベルまであと365日)
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業界:建設業
種族:土木系(専門業種)
業種:土木型枠工事(正式名:型わく工事業)
職業:職人(正式名:型わく工)
階級:普通の位
おもな仕事と思われる内容
「土木の主要構造物」と呼ばれる、現場打コンクリート製品の容器と呼ばれる「型枠の加工・組立」をするのが仕事。ちなみに、この型枠工事は、足場工事と同様に、仮設工事として扱われる。それでは見てみよう!
【型枠の拾出】
まず、一番最初に取り掛かる事務所での作業。元請け業者からもらってきた図面(展開図と構造図、標準断面図)をもとに、コンパネの枚数、桟木の本数、鋼管の本数、サポートの有無、セパレータの長さと本数、面木の有無、水抜きの有無、目地材の位置などを図面から拾い出し、加工帳に書き写す作業。
と、不足している材料の発注作業。
頭を使うので、苦手な人も多いが意外と楽しく、肉体的にらくな作業でもある。
【型枠の加工】
工場での作業。加工帳に書かれた加工寸法で、コンパネを切断し、桟木を取り付け、枠組みパネルを組立てる作業。そして、現場へと持っていくための梱包作業。
雨にもぬれず、単純作業に近いので、意外と楽しい。
が、
この作業の出来で、すべてが決まる。
【型枠の墨出】
現場での作業。現場で型枠を組み立てる前に「位置と高さ」を測量する事で、オートレベルを使って高さを測り、丁張にそって墨ツボで位置を出す作業。
現場によっては、元請け業者が出してくれることもある。
正確さが求められるので、雑な人には向いてない。
【型枠の組立】
メインとなる現場での作業。工場で加工された型枠を、丁張通に建込んでいく作業で、とにかく速さが要求される。
ここで腕を振るうことができれば、現場のヒーローになれる。目立ちたがり屋には「もってこい」の作業。
【型枠の打設】
最も、緊張する瞬間となる現場での作業。コンクリートを打設するときに、監視役として打設作業に立ち会う事。
何もなければよいが、もし型枠が「バレた」時には、現場中がパニックに陥る。ちなみに、このことを「相番につく」というらしい。
気が小さい人には、お勧めできない。
【型枠の解体】
現場での作業。型枠の加工組立作業がない時に、しょうがないので解体の手伝いに行く作業。
何も考えないので、頭を使う作業が苦手な人には向いている。
のが、型枠職人の仕事だ!
気になる給料の中身
【やとわれ方】
・雇用形態:雇われ社員
会社と雇用契約を結んでいる労働者。いわゆる「雇われ従業員」のこと。一応社員ではあるが、時間給で計算されるため、休みなど取りやすく、アルバイト感覚でも大丈夫な存在。
しかし、作業の責任者ともなると、そんなに勝手には休めない。
・賃金形態:日給月給制
日給制の「常用賃金」で、日給月給と呼ばれており、一日働いた時間により、一日いくらの給料が、一か月の給料としてもらえる。また、日給制なので出勤日数により、給料は変動する。
しかし、作業の責任者ともなると、そんなに勝手には休めないので、あまり変動しない。
・勤務形態:時間労働
一日8時~17時までの8時間労働(休憩1時間)で、休日が日曜日だけの年間52日の休みとなる。計算すると、年間313日(月26日)の出勤日数。
【きほんの給料】
・給与:年438万円(月37万円)
基本的に1日8時間労働で、日給14,000円の給料がもらえる。
時給にすると1,750円、建設界の作業員よりかなり高い水準(作業員の1.4倍、キャバ嬢の半分ちょい)の賃金がもらえる。
月給にすると、26日×14000円=37万円。年収は、12ヶ月×37万円=438万円となる。
・残業:年26万円(月2.2万円)
型枠職人の場合、現場では年に120時間(月10時間)ほどの残業が発生する。そして残業賃は、基本時給の1.25倍がもらえる。これを計算すると、ひと月に1750円×1.25倍×10時間=2.2万円ほどで、年間2.2万円×12ヶ月=26万円なり。
・休出:年0円(月0円)
日曜出勤、夜間作業ともに出ることはほとんどない。
・賞与:年14万円(1回7万円)
ボーナスのこと。通常一般の会社では、年2回の賞与がある。寸志として、7万円ほどもらえることがある。
・手当:年0円(月0円)
通勤手当や携帯電話などの手当てのことで、ほとんど期待できないので無視。会社によっては通勤手当があることも・・・
※仮の給料
額面の年収478万円(月40万円)
仮の給料とは、会社と雇用契約を結ぶ時の給料や、求人案内などに書かれている給料で「額面の給与」と呼ばれており、だいたいこんな感じになる。この金額が丸々手に入るわけでもないので、あしからず・・・
【ほんとの給料】
・天候による休み:年-0円(月-0円)
型枠工事の場合、建設界最大の天敵「雨」が降っても、雨がっぱの力を使い、作業ができないことはない。そして仕事さえあれば休むことなく働ける。
ここが土木工事の作業員との大きな違いだ。ちなみに、1ヶ月の雨休みは26日×0%=0日となる。
・連休による休み:年-21万円(1回-7万円)
1月の正月休み(5日間)、5月のゴールデンウイーク(5日間)、8月のお盆休み(5日間)の長期連休で、建設業界ではほとんどの現場が休むことになる。
・税金による搾取:年96万円(月8万円)
社会保険や雇用保険、所得税など、国にとられる税金で、給料総額の「約21%」が持っていかれる。
※真の給料
手取りの年収361万円(月30万円)
額面の年収478万円(月40万円)
年間の差額-117万円(月10万円)
実際に手元に残る手取りの給料は、休みや税金を差し引くと、これくらいになる。
これが「真実の給与」です。
※ケンセツクエスト調査班の予想です。
※金額の端数は調整しています。
2.能力(土木系の型枠大工の強さ)
土木型枠の「普通職人」に必要な、色々な基本能力値と解説!
つよさ(強さ)
総合能力値:30ポイント(60ポイント中)
0■■■■■■■■■□□□□□□□□□60
「力、技、体、賢、速、心」の6つの数値を集計した総合ポイント。数値が高いほど「強い」とか「すごい」とか「かっこいい」と思われる。
ちから(筋力)
力: 4 ★★★★☆☆☆☆☆☆
腕力の強さのこと。職人になると要領がよくなるので、力はあまり要らなくなる。
うでまえ(技前)
技: 7 ★★★★★★★☆☆☆
技術の高さのこと。土木型枠場合「傾斜、勾配、鋭角鈍角」などの型枠作業ばかりなので、高い技のレベルが要求される。
たいりょく(体力)
体: 4 ★★★★☆☆☆☆☆☆
持久力の長さのこと。真夏の床掘の中での型枠作業は疲れる。それに負けない体力が必要。
かしこさ(賢さ)
賢: 6 ★★★★★★☆☆☆☆
頭の回転の速さのこと。「原寸」と呼ばれる作業を行うのに、左脳を使う計算力を必要とする。
すばやさ(素早さ)
速: 4 ★★★★☆☆☆☆☆☆
機敏な動きのこと。少しでも出来高を上げるため、機敏な作業をしなければならない。
こころのつよさ(心の強さ)
心: 5 ★★★★★☆☆☆☆☆
精神力の強さのこと。計算間違いや寸法間違いを、しないくらいの集中力があればいい。
3.装備(土木系の型枠大工の装飾品)
土木型枠の「普通職人」が装備できる武器、防具、その他の道具!
ぶき(武器)
【手動系】
金槌属性:柄の長い仮枠ハンマー
鋸切属性:333mmの手引きノコ
【電動系】
回転属性:日立の電動丸ノコ
拳銃属性:日立のインパクト
ぼうぐ(防具)
【兜系】
頭の防護:二本線のヘルメット
【籠手系】
腕の保護:半分ゴムの手袋
【鎧系】
体の防護:割ときれいな作業服
体の防寒:ヒートテックのジャンパー
体の防暑:ファン付き空調ジャンパー
【甲掛系】
足の防護:編み上げ式安全靴
どうぐ(道具)
【腰袋系】
腰袋:本革製のくぎ袋
【小道具系】
工具:鋼製のさしがね
工具:自動巻きの墨ツボ
【乗物系】
専用車:道具が積める軽トラック
4.特技(土木系の型枠大工の得意技)
土木型枠の「普通職人」が、経験を積むことにより覚えるスキル・技、それと奥義。
覚えなくてはならない基本技
【手腕技:釘打ち】
難易度:3
その名のとおりコンパネと桟木をくっつけるのに、仮枠ハンマーを使って釘を打ち込むこと。熟練すると75mmの釘を、2回の打撃で打ち込めるようになる。
【手指技:頭出し】
難易度:4 ★★★★☆
型枠大工のみが扱える、釘打ち技の一つ。型枠の加工時に、片手で釘を打ちながら、もう片方の手で、次に打つ釘の準備をすること。血のにじむような修練の末、できるようになる技。
【手腕技:スポット溶接】
難易度:2 ★★☆☆☆
電気を使ったアーク溶接の技。一見、型枠屋に必要なさそうに思えるが、セパレータや、段取り筋、浮き止めの作業で、その威力を発揮する。そして、得意な溶接技の種類は「点付溶接」だけだ!
【型枠術:スラントライン(勾配計算)】
難易度:3 ★★★☆☆
土木型枠で特に多い、コンクリート擁壁の勾配を計算すること。1m上がった時に対して、0.3m傾くことで「3分勾配」、0.5m傾くことで「5分勾配」という風に呼ばれる。これにより、セパレータの「長さ」が決まると言う。
ちなみに、1m上がった時に1m傾くことを「1割勾配」と人は呼ぶ。
※電卓手順
例:高さh=1.5mで、勾配N=3分(0.3)の場合
(電卓1)1.5m×0.3=0.45m
(答え2)傾き幅w=450mm
と、計算時間、なんと1秒
【型枠術:スロープライン(傾斜計算)】
難易度:3 ★★★☆☆
土木型枠で特に多い、コンクリート構造物の天端を決定するのに傾斜を計算すること。1m進んだ時に10cm上がることを「10%傾斜」、1m進んだ時に1m上がることを「100%傾斜」と呼ばれる。これにより、セパレータの「高さ」が決まるという。
ちなみに、1m進んだ時に2m上がることを「200%傾斜」と人は呼ぶ。
※電卓手順
例:起点高FH=50.000mで、終点高FH=49.500mで、起点と終点の長さL=10mの場合
(電卓1)50.000m-49.500m=0.500m
(電卓2)0.500m÷10m=0.05×100=5%
(答え3)傾斜=5%
と、計算時間、な、なんと!5秒
【型枠術:リアルスケール(原寸計算)】
難易度:4 ★★★★☆
薄ベニヤ板や、広い床の上に、実際の寸法で図面を書いたり、型を取ったりする技。角度があるものや、勾配があるものが混じった複雑な構造物に適用される。伝統的な技だが、現在の高度なコンピュータ「CAD」の出現により、絶滅する技。
※原寸手順
例:擁壁の天端幅w0.3mで、勾配N=3分(0.3)、高さh=1.5mの場合
(作図1)べニヤ板を用意する
(作図2)実際の寸法で、ベニヤ板に墨付けしていく
(作図3)セパレータの高さを決める
(答え4)セパレータの長さをはかる
と、作図時間、なんと手間がかかる30分!
できれば覚えたい特殊技
【奥義:ナマガネ】
難易度:4 ★★★★☆
建設界では「ナマガネ」と呼ばれている、直角以外の角度を持つ構造物のこと。その種類は、角度が尖った「鋭角」と角度があまりない「鈍角」の2種類があり、どちらも施工する時に「差し金」が使えないので、メンドクサイものである。ゆえに奥義。
ちなみに、直角のことは「カネンテ」と、人は呼ぶ。
持っておきたい資格術
【国家資格:2級型枠施工技能士】
難易度:3 ★★★☆☆
国家資格で、技能検定制度のひとつ。学科と実技の試験があり、合格率は26%と低そうだが、案外簡単に取れる。
これを持つことにより、みんなに自慢できる!かも?
【技能講習:型枠支保工の組立て等作業主任者】
難易度:2 ★★☆☆☆
コンクリート構造物のスラブ(床版)、ガータ(梁)、ビーム(桁)の底版を支える「支保工」を組み立てるのに必要な資格。この資格を持っていないと、作業ができない。必ず取得しよう!
5.特長(土木系の型枠大工の性格)
土木型枠の「普通職人」の良いところ、悪いところ、建設界での階級などなど。
良いところ
・人に使われるより、使う方が大好きで、負けず嫌いのあなたには、ぴったりの職業です。
・手に職が身につくので、熟練度が上がるほど、自分の価値が上がる。
悪いところ
・小規模な工事で、一つの現場を任されると言う、責任がちょっと重い職業。
・チームワークが必要な作業なので、コミュ障害を持つ者には向かない。
社会的地位
・階級:メタルカラー(中流階級)の貧乏脱出層
職人と呼ばれる人は、「メタルカラー」とも呼ばれ、作業員や運転手の一つ上の位、「中流階級」の扱いになる。
生き残り
・外国人達に仕事を奪われる確率:30%
・人工知能に仕事を奪われる確率:0%
・現在の仕事自体がなくなる確率:0%
「手に職をもつ者!建設界がある限り、一生食いっぱぐれは無い」と言われるほど、職人の需要は高い。その技がある限り、安泰だ!
6.転職(土木系の型枠大工の将来)
この職業を極め!進化し!転職せよ!
まずは・・・
土木型枠の普通職人で【土木系の型わく大工】から始めよう。
・なる方法1:型枠の仕事に就いて、5年目に突入した。
・なる方法2:勾配と傾斜の計算が容易にできる。
・なる方法3:使われる作業員よりも、使うほうの職人になりたい。
そのあと・・・
修業を行い、上級の位の【型わくのR職人】に進化しよう!
・なれる条件1:土木型枠特有であるカーブを、美しく「曲げる」ことができる。
・なれる条件2:性格が、真っ直ぐではなく、少し「曲がっている」。
・なれる条件3:自分の信念をすぐに「曲げる」ことができる。
さらに・・・
さらなる高みを目指し、ほかのジョブへと転職!!
・おすすめの転職先1:下請けの型枠職人から、元請けの型枠職人になれる一般土木工事の職人【なんでも屋の多能工】などは、どうでしょうか。
・おすすめの転職先2:似ているようで、全く別物工事の建築型わく工事の職人【建築系の型わく大工】に転職してみる。
7.総括(土木系の型枠大工のまとめ)
そうかつという名の感想。
まとめてみた
土木の型枠職人という者と、建築の型枠職人という者を比べてみた。
まず、
作業環境:土木のほうが過酷。
作業工期:建築は酷。
作業時間:建築のほうが過酷。
作業難度:どちらも一長一短かな?
作業技術:土木が上かな?
作業単価:土木が高い。
作業規模:建築のほうがデカい。
作業安全:建築のほうが厳しいので安全。
作業給料:どちらもあまり変わらない。
と、言うような結果が出ました!
当然、
ぼくの私見です。よきにどうぞ・・・
枠。